Bel Canto・美しい歌声

オペラ歌手・矢口智恵さんと、智恵さんの出身地・世田谷区民合唱団周辺の音楽事情をcatmouseがお届けします。

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第九、どこで立つ?


国技館5000人の第九の、観客だったかたが、その感動をブログにつづってくれました。

その、ヤチさんのブログを読むと、その日、そこで行われたことが、まるでその場にいったかのように、よく伝わってきます。→ http://ameblo.jp/is-my-life/

その方が書いていたなかに、「第何楽章でしょうか、途中で5000人が一斉に立ち上がります。かなりびっくり」とありました。


何回も歌っていると、そういうことに気付きません。

立ち上がったのは4楽章の208小節めのPrestoのところ。
4楽章の入りが再び出てくるところです。
ほとんどのケースが、ここで立ちます。

たいてい指揮者からこんなことを言われます。

「ばらばらと立たないで。一斉に立って」

わたしたちはそこに近づくと、飛び出さないように、おくれないように、と緊張します。

2月28日のリハーサルの時は、主催者から「全員立つのに4秒かかった。もうちょっと一斉に立つように」といわれました。

実は、国技館には、合唱者泣かせの事情があります。
それは升席。
座布団があって、正坐、もしくは体育座り、もしくはお姉さん座りをしなければなりません。
足が痺れるのです。
長時間座ってて、いきなり立て、といわれても難しいものがあります。

今回、幸いなことに、catmouseは2階椅子席でした。
だから、まあ、1秒で立てました。
升席にあたった友人に聞いてみました。
「すぐ立てるもんじゃないでしょう。どうしていた?」
すると友人は、
「第4楽章が始まったら、それまでとは違った姿勢で座りなおし、足をもむなどして準備をして、Prestoの5?6小節前から立つ姿勢をとったのよ」

歌う側は、こうしたことで頭がいっぱいになっているのですね。

ところで、catmouseは先ほど、Prestoのところでほとんどのケースはここで立つと書きました。
では、そうでないばあいがあるのか?

あるのです。

実は、2月28日に先立つ2月7日、にゃっちゅたち世田谷区民合唱団は、ニューイヤーコンサートでも第九を歌ったのですが、田中良和氏指揮による第九は164小節、オケ全員がテーマをひき始めるところで立ちました。

田中先生がそうしたのには、わけがありました。
「仲間が、ひとり、ふたり、とだんだん集まってくる。集まってくるけれどすぐには歌わない。なんだろうと集まるんだけれど、人というものはすぐには行動を起こさないでしょう? 最初は様子をみるじゃないですか。そうして様子を見て、自分も仲間に入りたいと思って、やっと歌いだすんですもんでしょう」

第九の4楽章のテーマは、最初、コントラバスから始まります。次にビオラが入り、次にヴァイオリンが入り、最後にブラスやティンパニーが入ります。
そのブラスやティンパニーが入る直前に合唱団を立ち上がらせたのです。
それから歌いだしまで様子を見る時間というわけです。

歌は最初にバリトンのソロが歌い、それに男声が同調して唱和します。
それから、アルトが加わり、最後にソプラノが加わります。

女性の権利や発言権は最後に与えられたという社会構造のように歌の構成はできているのですね。

合唱は257小節のDeine Zauber binden wiederから始まりますが、元譜ではソプラノは歌わないことになっています。
しかし、たいていの場合は、ソプラノも歌います。2月28日も歌いました。
実は、ソプラノの歌い手にとって、これはかなりありがたいんです。
長時間黙って座ってますから、発声の準備運動になるんですね。
これをしないと、第一声で五線譜の一番上の間に位置するE(ミ)の音をいきなり出さなければなりません。

中田先生は元譜どおり、ソプラノは285小節目から歌うよう支持しました。
それは音楽解釈によるものなのです。

「ベートーベンの書いた元譜に、なるべく忠実に」

だから、楽譜はベーレンライター版を使いました。
従来のブライトコップ版などとどう違うかという点ですが、
一番大きな違いは331小節目、Allegro assai vivaceのところです。
速度記号付点四分音符=84と従来譜は書かれています。
それが、ベーレンライター版では付点二分音符=84なのです

どういうことかといいますと、331小節目で、ベーレンライター版は従来譜の2倍の速さで歌うことになるわけです。

歌の文句を読むと、こんなことが書かれています。

「走れ兄弟よ。君たちの道を喜ばしく。勝利に向かう一人の勇者のように。」

だから走るスピードなのだと。
そうすると、それと同じスピードで543小節のテーマである合唱に突入することができる。
無理がない。

とこうした理由によります。

しかし、元譜は付点四分音符=84と書かれているぞ、という人に対してはこう言います。
 「それはインクのしみですよ。たまたまぽたり、と落ちたんです」







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花ギフト館のブログ 2010-03-04 (Thu) 18:28


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